アリスとテレスの矢

考え事が多いもので。

めぐりあい

ふじみ野は生活圏といいますか、ららぽーとなんかもあるのでよく行くんですよね。まさに会社の同期が一人あの近所に住んでいるので、より身近に感じたという具合で。

亡くなられたお医者様にはご冥福をお祈りするばかりです。普段から医者にかかってばかりの人間としては兎角胸が痛い話でもあり…。

 

医療事故が云々ということですが、確かに医者は直接的に人間の生き死にに関わる仕事として責任が重いものと思われがちですが、果たして人命に全く関わりのない仕事などあるのでしょうか。

 

僕なんかはその辺のメーカー技術者ですが、自分が開発に関わる製品でもしトラブルがあった場合、その機械が止まってしまうわけですね。例えばこれが自動車だったとして、ブレーキが効かずに交通事故を起こしてしまえば…と、想像に容易いです。

 

さて、僕が学生の時に受けた講義に技術者倫理というものがありました。読んで名の如く、技術者における倫理観についての講義なのですが、これが全員必修なんですね。内容としては、設計ミスや品質の誤判断などで人命を奪ってしまった工業製品の例を歴史として学ぶというようなものだったと思います。はっきり覚えているのはチャレンジャー号爆発事故の話。詳しくはwikiでも読んでいただければと思いますが、あの凄惨な事故の機械的な原因は、低温環境における燃料タンクのOリングの固着破損による燃料の漏えいです。しかし、根本的な理由としては、それが事前に予測できたにも関わらずNASA上層部によって打ち上げが強行されたことにあったわけです。内部における詳しいやりとりは鮮明ではないですが、技術者らが打ち上げ中止を明確に提言できなかったこと、それに聞く耳を持たなかった上層部の責任というものが問われます。講義的には、君たち技術者になる身としては、その技術に責任を持たないといけないよというようなことだったと思いますが……もう数年前に聞いた講義なので詳細は割愛…。

 

ここまではあくまで一例ですが、他のどんな業種だろうと、直接的・間接的に必ず人の命に関わるところがあって、結局のところ自分は誰かに生かされているし自分は誰かを生かしているってことですね。「そう言われても自分には関係ねぇよ!」「そんなわけねーだろ!」と思っている人、つまりそういった相互作用で人間は生きているってことを想像できない人がああいう事件を起こしてしまうんですね。誰かの生き死にを特定の個人に転嫁し、起こってしまったことを認めることができない人が…。

 

さあ、今日も僕は色んな人に生かされています。今住んでいる家を建てた人、今日食べた昼ごはんの食材を生産してくれた人、電気を生み出し送り届けてくれる人、給料をくれる会社の人、なんかそばにいてくれる人…。